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食べ物の備え、「継続」していますか?おいしいは最強という話。

食べ物の備え、「継続」していますか? おいしいは最強という話。
2023.03.22

3日分の保存が推奨されている備蓄食ですが、それでは足りない場合があるそうです。では、どんな場合に何日分の備えをしたら良いのでしょうか?

備蓄量の目安の調べ方と、いざと言う時に備える事の大切さを、アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんに教えていただきました。

緊急事態宣言の日は、あの地震と同じ日だった

備蓄食品イメージ

皆さまは、食べ物の備えを「継続」されていますか?「備えましょう」ではなく、なぜ「継続」?と思われたかもしれません。

コロナ禍で緊急事態宣言が出された時、多くの方が、食べ物を買い揃えました。パンや麺類のようにすぐ食べられるものから、レトルトや缶詰のように保存がきくものを含めて、まとめ買いされた事と思います。感染リスクを避けるため、1人しかお店に入れないという制限があった事もありました。あの時、非常食を備蓄していた方からは、「無理に買い出しに行かずに済んで助かった」という声がありました。パンデミックも災害ですから、ふだんからの備えが役に立ったということになります。

ところで、緊急事態宣言が出された日は、「あの日」と同じ日であることをご存知でしょうか?

WHOのパンデミック宣言が出された日、それは、2020年3月11日でした。そう、東日本大震災と同じ日です。そして、日本全国を対象に緊急事態宣言が発令された日は、4月16日です。4月16日という日に見覚えがありませんか?この日は、熊本地震の本震があった日なのです。偶然とはいえ、どちらも日本の防災で忘れられない日です。同じ日に、私たちは再度、「備えの大切さ」考えさせられたということになります。

でも、喉元過ぎれば熱さを忘れると言われるように、「その時に蓄えたものはもうない!」という声も聞こえてきます。だから、皆さまに再度、お伝えしたいのです。食べ物の備えを「継続」されていますか?パンデミックや大地震が起こらなくても、豪雨や豪雪などの災害は頻繁に起こっている昨今です。今一度、食べ物の備えを「継続」してみませんか?

ローリングストックは簡単にできる防災

食べ物の備えを「継続」するために、まず実施したらいいことは何でしょう?まずやっていただきたいのが、「ローリングストック」です。ローリングストックとは、ふだんの食べ物を少し多めに買っておき、食べたら、また買い足して、無理なく、備えておく方法です。

「食べて、補充して、蓄える」というサイクルをぐるぐる回すことができるので、「ローリングストック」と呼ばれています。いつも買っているものを、多めに買って保管しておくだけでいいので、「継続」しやすいのです。これだと、ハードルが低いと言われていますが、いかがでしょうか?
まずは、今日から、ローリングストックを実践してみてください。

まずは3日分の備蓄を

では、どの程度多めに備えておくのが良いのでしょうか?

農林水産省のHPには備蓄の目安=家族の人数✖️最低3日分 できれば1週間分と書かれています。

3日間の備蓄では足りなくなる場合

1週間は大変だからまずは3日分からチャレンジというのもありですよね。ただし、以下の4つのいずれかに該当する場合は、3日では足りなくなる可能性が高い方達です。

01

アレルギー対応食品や介護食など、災害時に手に入りにくくなる食材が必要な場合

アレルギー対応食品の備蓄食の必要性について

アレルギー対応食品や介護食なども東日本大震災以降、自治体で備蓄するようになってきました。ですが、流通が途絶えがちな大災害は予想外のことも起こりやすく、特別な食品は手に入りにくかったことは教訓となっています。そのため、農林水産省でも、これらの食品が必要な方については、2週間以上の備蓄を薦めています。

02

マンションの上層階で、エレベーターが停止した時、上り降りが必要な場合

マンションの上層階で、エレベーターが停止した時

マンションの上層階の場合、水を持って階段を上がることが大変になります。次に書かれている停電や断水の予想時間を確認して、想定によっては、1週間以上の備蓄も検討します。

03

地震の被害想定で停電・ガスの停止・断水の日数が3日を超える場合

地震の被害想定で停電・ガスの停止・断水の日数が3日を超える場合

地震の際の停電や断水がどれくらい続くについては、防災科研の地震10秒診断で確認してみてください。現在地や郵便番号を入力すれば、停電や断水の想定日数が確認できます。

地震の後、周辺地域で火災が起こり燃え広がった場合は、自宅が無事でも、物資が全く手に入らない可能性もあります。インフラも流通も途絶えるケースは、ライフラインの復旧が「遅い」を選んでみたり、「出火確率」をクリックしてイメージしてみてください。詳しく知りたい場合は地域のハザードマップで再確認します。

04

洪水で浸水継続時間が長い場合

洪水で浸水継続時間が長い場合

浸水害で自宅にとどまることにした場合、浸水継続時間よりも長い日数の備蓄が必要になります。高潮や河川の氾濫、低い土地の浸水が起こった時、地域によっては浸水が続いたままになります。この場合、マンションの上層階にいるからといって安心できません。4週間も浸水が続くことになれば、ほぼ1ヶ月です。都市部だと、人口が多いため、ヘリやボートによる救助はないと思っておく必要があります。それでも自宅にとどまるとしたら、1ヶ月の備蓄が必要になります。それ以下の備蓄しかないのであれば、避難が必要になります。

浸水継続時間は、自治体の洪水ハザードマップと、国土交通省 国土地理院 重ねるハザードマップで住所を検索して、「浸水継続時間」を表示すると出てきます。ただ、浸水継続時間については最新情報なので、まだハザードマップに反映されていない地域もあります。

画像出典 農林水産省「国土交通省 国土地理院 重ねるハザードマップ

非常食を備蓄する利点

では、どんな食べ物を備蓄すればよいのでしょうか?ローリングストックは、いつもの食べ物を多めに買い足す方法でした。これに加えて、すすめられているのが非常食の備蓄です。

非常食というのは、缶詰やレトルトなど、主に災害時に使用するものです。とはいえ、ローリングストックで備蓄していれば災害用の特別な「非常食」は、もう準備しなくてもいいかもと思えるかもしれません。

でも、災害直後、電気が止まり、余震も続いている状態を想像してみてください。火を使うことが危険かもしれません。この時は、調理しなくてもすぐ食べられる「非常食」の存在がありがたいのです。

先ほど、紹介した4つのケースに当てはまる場合も、被災が長期にわたるケースです。日常備蓄よりも長く保存できる非常食の備蓄が必要になってきます。

また、災害時、自宅から避難しなければいけないケースでは、「非常食」の方が持ち運びしやすいです。地震であれば、家屋倒壊、火事、津波、土砂災害によって自宅からの避難が必要になります。さらに、地震と同時に豪雨災害が起こるなど、複合災害で避難が必要になる場合もあります。

余談ですが、他にもこんな「非常食」の活用方法があります。現在、豪雨災害時に避難する場所としては、避難所・避難場所だけではなく親戚宅や友人宅も薦められています。そのため、親戚宅などに、いつかお世話になる時のご挨拶の品として、「非常食」をプレゼントすることもおすすめです。自分の備蓄と兼ねた実用的な贈答品になります。

ということで、ローリングストックだけでなく、非常食の備蓄もお忘れなく!

おいしいは強い!おいしい非常食を

非常食も備蓄したほうがいいと言われても、「非常食っておいしくなくて、食べにくいから、備蓄したくない」と思っている人がいるかもしれません。でも、最近の「非常食」を食べたことがありますでしょうか?是非、一度、食事やおやつに食べてみてください。「おいしいから普段から食べてしまって、賞味期限切れにならない」との声があるほどです。

せっかく非常食として買ったのに、賞味期限が切れてしまって処分に困るのは残念ですよね。おいしいものだと、そんな心配がないのです。おいしいは強いのです。

そして、何をおいしいと感じるかどうかは、あたりまえですが、人によって違います。ネットのコメントで「おいしい」と書かれていたにもかかわらず、自分にはあっていなかったということが、災害のその日に発覚するのは辛すぎます。気持ちも沈みがちになりそうです。だから、非常食でも、一度は、食べてみてほしいのです。

缶詰の非常食

でも、缶詰などは開けてしまうのがもったいないと思ったりしませんか?

でも、やっぱりおいしいは強いと思うことがありました。

私は、通っている大学院のロッカーにボローニャのパンの缶詰を備蓄品として蓄えているのですが、忙しくてお昼を買いに行けない友人にこのパンをプレゼントしました。そうしたら、「缶詰なの!?おいしい!」と好評でした。学校や職場などでは、忙しすぎてお昼が食べられないということが起こります。雨の日だったら、外に出かけたくないかもしれません。いわば、プチ災害です。そんな時に、すぐに食べられ、食べたら、即、みんなが笑顔になったというのは素敵な体験でした。おいしいものは、災害時だけでなく、日常も豊かにしますね。おいしいって本当に強いなあと思いました。

また、非常食をキャンプの朝ごはんとして利用することもおすすめしています。

夜遅くまで焚き火したり、夜空を楽しんだり、キャンプで思いっきり遊んだ朝は、ゆっくりコーヒーだけ入れます。朝ごはんは非常食の試食会です。キャンプで食べるようにすると、期限切れ防止になります。うちでは、ベーコンなど、燻製をよく作っていますが、この缶詰のパンの味は、ベーコンが合う、こっちは何もつけない方がおいしいなど、もっとおいしい食べ方を災害前に研究することができます。

キャンプの朝、食事の準備に追われずゆっくりのんびりできるのも、おいしい非常食があってのこと。キャンプが嫌いになったという人の声を聞いていたら、「家と同じように食事の準備と後片付けに言われて、のんびりできない」というものがありました。落ち着けないキャンプだと楽しめないですよね。「非常食試食会」という大義を持ち出して、手抜きできるのは最高です。やっぱりおいしいは強いのです。

皆さんも、ぜひ「おいしいは強い」を体験してみてくださいね。おいしいと思える非常食を、災害前に見つけておく、やるべきことはこれだけです!

賞味期限対策にアプリを

東京都防災アプリ そなえ

画像出典 「東京都防災アプリ そなえ(チェックリスト)」

最後に、そうは言っても、賞味期限をどうしても切らしてしまうという方に朗報です。今は、防災に限らず、ふだんの賞味期限を管理するアプリがあります。商品のバーコードをスマートフォンで読み込めば、商品写真が自動で記録されます。賞味期限を入力しておけば、アラート通知が届くので、期限切れとなる前に気づくことができます。

防災専用のアプリとしては、東京都民でなくてもダウンロードして使える「東京都防災アプリ」の中のそなえ(チェックリスト)もおすすめです。商品写真は記録されませんが、賞味期限のアラート設定は可能です。

以上、いかがでしたでしょうか?

個人的には、「おいしいは強い」だけじゃなく、「最強」かもと思っているのですが、皆さまからの体験談をお聞きしたいなあと思う昨今です。皆さまの食べ物の備えの「継続」に、この記事が少しでもお役にたっていれば嬉しいです。

ボローニャオンラインストアで購入できるパンの備蓄食

ボローニャオンラインストアで購入できるパンの備蓄食

3年6ヶ月の長期保存が可能なデニッシュパンの缶詰『缶deボローニャ』、5年6ヶ月保存可能な『備蓄deボローニャ』販売中!テレビでも紹介された「おいしいパンの缶詰」、この機会にぜひお買い求めください!

あんどうりすさんイラスト
著者

あんどうりす さん

アウトドア防災ガイド

阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を展開。当時、誰も提唱していなかったが、現在では当たり前になっている毎日のカバンを防災仕様にというアイデアを提案。とりわけ子育てグッズと防災グッズをイコールにしてしまうアウトドア流の実践的な内容が好評。楽しくてすぐに実践したくなる、毎日の生活を充実させるヒントがたくさんあると親達の口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。

新建新聞社 リスク対策.com名誉顧問
女性防災ネットワーク東京 呼びかけ人
兵庫県立大大学院 減災復興政策研究科 博士課程
FM西東京 防災番組 パーソナリティ

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